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よく見るとどうやら人影は女性らしい。少し長めの髪が風になびいている。
「風に当たりたいのか。」
ただ何をするわけでもなく座っている女性。そろそろ少年の興味から外れて視界から消えそうになったその時だった。
「まさか……。」
少年は駆け出した。
女性はその高さから身を投げようとしているのだ。今の状態なら軽く後ろから触っただけでも道路へと真っ逆さまだろう。
「どうしたらいいんだ?」
駆け出したはいいが、少年にはどうしようもないだろう。地上にいて受け止めるなど不可能だ。が、かと言って今から上がっていっても間に合わないだろう。
「何かないのか……。」
そうこうしているうちに、すでに女性の体は地球の重力に逆らうことなく落下し始めている。
「……くっ!!」
少年には顔を背けることしか出来なかったのだった。
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