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「ぁ!!みっちゃんやっときたぁ…」
ゆーこは待ちくたびれていたみたいだった。
「ごめん、いろいろあって
遅くなっちゃった。
でも空気いれ持ってきたから」
「うん?
誰?
あ、ライフセーバーの人!!」
ゆーこは男と私を交互に見た。
私はすぐさまゆーこに耳打ちする。
「違うから。
そういう人じゃないから。
空気入れてくれるんだって」
ゆーこはにまーっと笑う。
「およよ!みっちゃんも隅に置けないね?」
「なー!このシャチふくらませればいいの?」
男がそう聞いてきたから
私は私と男をにまにましながら見るゆーこをたたいて
言った。
「うん、そのシャチお願いします」
男は黙々とシャチをふくらまし始めた。
「…ょし、これでOKだな…」
男が汗をぬぐう。
あんなにでかかったシャチは
ものの5分でふくらんだ。
「わーい!!シャチシャチ!!」
ゆーこははしゃいで
シャチを海に運んでいく。
「あ!ゆーこ!!ひとりじゃあぶないし…!!!」
私が急いで追いかけようとしたとき私は男の存在に気づいた。
「ぁ、あの。
ありがとうございました…」
なんだかんだで
助けてもらって
浮き輪までふくらましてもらったし私は素直にお礼をいった。
「どういたしまして。
また困ったことあったら
呼んで、みずき?」
「あ、はい…ありが…
…って、なんで私の名前ッ!??」
男は面白そうに笑う。
「だってさ
海の家のおばさんが
あんたんとこ
『みずきちゃん』って
呼んでたじゃん?」
そ、そういえばそうかも…
っじゃなくて!!!
「しょ、初対面なのに
呼び捨てで呼ぶのは…ッ!」
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