第3章

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* * * 「あっ、おはよー!」 「おはよ、一緒に学校まで行こー?」 「今日マジ暑くなーい?」 駅のホームで繰り広げられる、女子高生の会話。 ……『マジ暑い』なんて、言ったことない。 女子高生の会話を聞きながら、私はホームで電車を待っていた。 いつもなら、こんな女子高生の会話は聞かない。 私がいつも乗る電車は、次に来る電車よりも二本早いから。 「朝から何やってんだろ……。」 その呟きは、周りの会話によって打ち消される。 ――今日は駅に着くのが三十分も遅れてしまった。 理由は、玉置くんに借りた傘を、家に忘れたと思って、取りに戻ったから。 昨日はあんまり寝れなくて、朝か少しぼーっとしてて。 今日返すと思っていた傘は昨日玉置くんに返したことをすっかり忘れてた。 そういうわけで、私はいつもは聞かないような女子高生の会話を聞いているというわけだ。 「ふわ…あ……」 ……それにしても、眠い。 口元に手を当てて、欠伸を噛み殺している時だった。 「眠いのかー?」 「――っ?!」 急に目の前に人が出てきて、私の欠伸は引っ込んだ。 .
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