第3章

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目の前に立っていたのは、色素の薄い髪の男の子。 「……早川くん!」 「ははっ、おはよ。」 それは満面の笑顔を浮かべた、早川くんだった。 「び、びっくりした……」 「何か眠そうだったから、驚かしたくなってさ。」 「驚かしたくなって、って……」 驚かさないで、普通に声を掛けて欲しい。 やっぱり、人気者のやることは違うのかな。 「…そういえば、今日は、玉置くんと一緒じゃないの?」 ふと、昨日は玉置くんが一緒だったことを思い出して。 すると早川くんは、何故かにっこりと笑って、 「あー、俺、置いてかれた。」 と、笑う顔とは裏腹に、悲しそうな声で答えた。 「え…?」 「何か朝いきなり電話あったんだよ。『先に行く』って、それだけ言って切られた。」 「玉置くん、勉強も委員会も忙しいからじゃ……」 「でもあいつ、別々に行く時はいつも前の日の夜には言ってくれるんだけどな。秀司のやつ、そういうとこはしっかりしてるからさ。」 「そうなんだ……。」 ……いいなあ、お互いを分かってる関係って。 本当の自分を知ってもらえるのって、きっと嬉しい。 相手の良いところも、悪いところも。 全部隠さず言っても、笑って許せるような関係が、ずっと羨ましかった。 .
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