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「お前、先に行くって言ってたじゃねーかよ。」
顔を近付ける早川くんのことを鬱陶しそうに一瞥してから、
「……朝の用事、なくなったんだよ。」
とだけ、玉置くんは呟いた。
何だかやけに声が小さかった。
「…そういえば、何で美雨ちゃんはいつもより遅いよね?どしたの?」
「えっと……家に忘れ物しちゃって……」
「取りに帰ったんだ?」
「まあ……そんな感じかな……。」
忘れ物をしたと思っていたのは勘違いだった、なんて言えなくて、私は曖昧に返事をした。
「それにしてもこの時間って」
「――あのっ!」
早川くんが口を開きかけた時、彼の後ろから女子の声が。
私も何となくそちらに目をやると、そこには女子高生が三人。
制服を見てみれば、うちの高校の生徒で。
校章の色からして、1年生、つまり後輩だった。
「バスケ部の、早川センパイ…ですよね?」
「うん? そうだけど?」
早川くんは、爽やかに笑った。
「やっぱり!センパイすっごくイケメンだから、すぐ分かりました!」
「オーラが違うっていうかすごく目立ってます!」
三人の女子は、きゃっきゃっ、とはしゃぎながら、さりげなく早川くんにボディタッチ。
「すごい……」
思わず、声が出ちゃってた。
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