第3章

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あんな風に、男の子に軽く触ったりなんて、あたしには出来ない。 話したこともないのに、触るだなんてこと……。 「……あれ、光輝の悪いところ。」 不意に傍で聞こえた小さな声に私は振り向く。 さっきまで私に背を向けていた玉置くんが、顔だけを動かして、早川くんを眺めていた。 「悪い、ところ?」 顔を見上げるようにして、そう訊ねると。 玉置くんはちらっ、と一瞬私のことを見下ろしてから、 「どの女子にも平等に接しようとする。でも悪いところというよりは――…ゴホッ、ゴホッ」 「だ…、大丈夫っ?」 話の途中でいきなり咳き込んで、私は慌てて顔色を窺う。 玉置くんが顔を見せなかったから気づかなかったけど、少し顔色が悪い……気がする。 そういえば、さっき手を取られた時も、手が少し熱かったような……? 「……大丈夫。」 ぱっ、とまた顔を逸らされて。 窓の外を眺め始めるその横顔を、少し観察するように見てみる。 ……本当に、大丈夫なのかな。 咳が出てたけど、マスクとかもしてないから、ひどくはないんだろうか。 表情から探ろうとしても、クールな彼は表情を崩さない。 優等生らしいその佇まいは、いつも見ているものと何ら変わりはなかった。 .
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