第3章

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乱れる呼吸を整えながら、早川くんは玉置くんを睨み付けて、 「コンビニ行くならちゃんと言ってから行け!いつの間にか隣にお前いなくて焦ったっつーの!」 「光輝が聞いてないだけで、俺はちゃんと言った。」 「嘘つくな!今日は本当に言ってなかっただろ!」 すると、玉置くんは早川くんから顔を背けて、 「―――…ったのに。」 と、近くにいる私にも聞こえないような小さな声で、何かを呟いた。 気になってちらっ、と顔を見てみると、相変わらず無表情だったけど。 何かいつもよりちょっと不満そうな……そんな感じがした。 「もーっ、ジュースにどんだけ迷ってんのー。」 「ほらっ、早くしないと遅刻しちゃうよ~」 コンビニから出てきた女子の会話で、はっ、と思い出す。 ……今日は、いつもより遅いんだった。 早く行かなきゃ遅刻になっちゃう時間だ。 「やっべー、今月これ以上遅刻はさすがにまずいんだった。というわけなので、急ごう!」 「あの……これ以上遅刻はまずい、って?」 いつもそんなに遅刻してない気がするんだけど……。 その質問に、代わりに答えてくれたのは玉置くんだった。 「光輝は部活でしょっちゅう朝練に遅刻してるから。うちの担任、バスケ部の顧問で。」 「怒るとマジで怖いんだぜー、イケメンのくせに。」 そう言って早川くんは、肩を竦めた。 .
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