第3章

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うちの担任がバスケ部の顧問なんて知らなかった。 イケメン英語教師って言われてるのは、さすがに知ってたけど。 あんなにイケメンって騒がれててバスケ部って、きっと学生時代はモテたんだろうな。 ……この二人と、同じように。 私は、自分の右側を歩く早川くんと玉置くんを、ちらっ、と見上げる。 私の隣を玉置くん、そのまた隣を早川くんが歩いている。 結局、一緒に登校することになっちゃったけど。 地味で独りぼっちの私が、イケメンって騒がれてる二人と一緒にいて、大丈夫なんだろうか。 周りの視線や話し声が気になって仕方ない。 ――自分について陰で何か言われるのが、怖かった。 それはもう今よりずっと、ずっと前から。 「――美雨ちゃん?」 右の方から名前を呼ばれて、はっ、と我に返る。 「なんかずっと左の方ばっか見てるけど?」 「あ、えと……」 早川くんが心配そうに、私のことを見ていた。 慌てて理由を探して、辺りに視線をさ迷わせて、 「えっと……あの女子達、私と同じ中学だなあって……あはは。」 「え、どれ?」 偶然にもそこにいた、車道を挟んだ向かい側の歩道を歩く中学生を指差す。 もう夏服に変わって、白地に紺のラインが入ったセーラー服。 ……私も二年前は、あれを着てたんだっけ。 .
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