第3章

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「あー、あの制服って何中だっけ?」 思い出せない様子で、早川くんが首を傾げる。 「あっ、私の中学は」 「――北中、だろ。」 不意に口にされたその名前に、私だけじゃなくて早川くんも勢いよく振り向く。 「何、美雨ちゃんの中学知ってたの?」 早川くんに迫られて、玉置くんは鬱陶しそうな目を向ける。 ……その質問は、実は私もしたかった。 私の通ってた中学は、確かに北中。 だけど、玉置くんに会ったり見たりしたことはない……と、思う。 だから私も気になって、玉置くんの顔を窺う。 「別に、制服見れば分かるだろ。」 「なんだよー、知り合いだったのかと思ったじゃん。」 「勝手に決め付けんなよ。それ、お前の悪い癖だからな。」 「お前が話してくれねーから、こっちは推測しなきゃなんねーんだよ。」 そんな二人の会話を聞きながら、私は密かに安堵していた。 もし、玉置くんが私のことを前から知ってたのに、私は知らなかった、なんてことになったら申し訳ない。 ……でもまあ、知ってるわけないよね。 中学だって全然違うのに。 こんな地味な私と、玉置くんみたいな人が、話したことあるわけないもん。 .
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