第3章

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私達は全員、先生の指す方向に目を向けた。 そこにいたのは……大勢の女子生徒達。 うちの学校だけじゃなく、他校の生徒までいる。 「きゃー! 見たっ!? 玉置くんがこっち見た!」 「今日はあんまりネクタイ緩めてないや、残念ー!」 「でも、どんな格好でもカッコいいよねー!」 ……何か、悲鳴に近い声が聞こえた気がしたんだけど。 女の子って、好きな男の子に対して凄い一生懸命だけど。 あれはもはや、アイドル的扱いな気がする。 玉置くんの方をちらっ、と見てみると、あまり顔には出してないけど、彼はちょっと引いているみたいだった。 「秀司って、何か色気があるんだよな、色気が。」 「……何だよ、色気って。」 「いや、光輝にも十分すぎるくらいにあるからな、色気。」 玉置くんに続いて、先生も溜め息を吐く。 確かに、二人とも色気っていうか……何か他の人とは違うオーラみたいなのがある。 玉置くんも早川くんも、気にしてるどころか、気づいてさえいないけど。 「んじゃ、検査は終わりな。3人とも合格だ。校舎入っていいぞ。」 「……ども。」 「はー、終わった終わった!じゃーなー武ちゃん!」 「えっと……ありがとうございました。」 私達はそれぞれ挨拶を済ませ、 「だーかーらー、武ちゃんって言うんじゃねえ!」 という先生の叫び声を背中に受けながら、校門をくぐった。 .
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