第3章

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ただ見てるだけで何も言わないから、ちょっと不安になる。 鋭い目つきをしてるし、ちょっと怖い……んですけど。 すると玉置くんは、はっ、と我に返ったような目をして、目を逸らした。 「……早く行くぞ。このままのんびりしてると、また遅れて武本先生に怒られるからな。」 「げっ、急ごうぜ!」 早川くんが真っ先に駆け出して、その後に玉置くんがスタスタと足早に歩いていく。 玉置くんの歩くスピードは速くて、私の小走りとちょうど同じくらいの速さ。 二人から少し離れて、慌てて後を追った。 あんまり近くに寄ったら、周りの女の子から何を言われるか分からない。 もう学校内に入ったんだもん。 他校の女子ならまだしも、この学校の女子に見られたら……。 確実に、独りぼっちの私は――簡単に居場所を奪われる。 かろうじて保っている、クラスの中での、私の小さな居場所。 誰にも干渉されず、誰とも関わらない。私だけしかいない世界。 そんな、小さくて狭い、私の居場所を奪われたら、私は二度と立ち直れない。 またあの時みたいにあの人が助けてくれるとは限らないんだ。 私は頭を軽く振って、余計な考えを追い払う。 ……暗いことを考えるのは、やめよう。 とにかく、急いで教室に行かなきゃ。このままじゃ私も遅刻しちゃう。 .
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