Nowhere

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 2日後。  愛珂は昇の葬式にいく事にした。  沈んだ気持ちで制服を着て支度を整え、玄関へ行った。  これは自分のせいなのか。少しずつ、葛藤は収まりつつも、未だに罪悪感を覚えたままだ。  実際、昨日の通夜へ行かなかったのは、その葛藤の結果が、「行くべきでない」と一時的に決まったからである。  にもかかわらず葬式に行くと決めたのは、気持ちの整理をつけるため。やはりこうするしかないと、愛珂は決めた。  靴を履いて、ドアを開けた。  郵便受けを何気なく見てみた。  手紙が入っている。  両親のどちらか宛てだろうと思い、封筒に書かれた宛先欄を見た。 『最愛の愛珂へ』  封筒の口を急いで切った。  恋人からの最初で最後の手紙が死んだ後に届くのは、皮肉であり、嫌味でもあったが、昇に対する激しい気持ちを、今はどうする事も出来なかった。  幾重にも折り曲げられた白い便箋が一枚。 『今頃自分は死んでるかもしれない。  でも、約束する。  最愛の愛珂を残したまま死んだりはしない。  手紙が届くのは1月21日。  一週間後、僕がどこにいるのか教えてくれないかな。  自分じゃわからないんだ。  どこに居るのか。  愛珂に会いたい。  岡崎昇』  手紙を見て固まった。  死んでから余程の月日が経っていたなら、少しは冷静になって、この手紙を読むことが出来ただろうか。今はそれすらも疑問だが、やっぱりもう抑えられない。 「あたしも会いたいよ…。昇…」  とっくに死んでいるなら、わざわざこんな手紙、最初から出す必要なんてない。 「会おうね。7日後に、絶対」  冷静さなんて、もうどこにもない。恋人を探すのに、「考える」なんて手間のかかった事なんか出来ない。  手紙を制服のポケットの中に入れ、葬式へ出向いた。
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