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私立 櫻(サクラ)学園。
進学校で、基本的に頭の良い人が多い。
制服も可愛らしく、制服目当てで入ろうとする女子もいるけど。偏差値という壁にぶつかり諦める子がほとんど。
それに、校舎も広々としていて中庭も綺麗に整備されている。
部活動も盛んで、全国的にも有名な高校。
こんな完璧な学校の門の前に、私は立っていた。
「ぜぇ…ぜぇ…」
……息を切らしながら。
どうして息が切れているのかというと、理由は簡単。
遅刻。
寝坊をしてしまった。おかげで、髪はボサボサ。
唯一の救いは、学校が家から徒歩十分だったこと。
走った訳じゃない。少し早歩きをしていただけ。
なのに、何故こんなに疲れているのかというと。
体が思うように動かないだけ。
息を整えながら、校舎の中に入って行くとみんな私の方を見る。
そして、ひそひそと話し出す。もちろん私を見ながら。
別に私は、可愛いわけじゃない。美人でもない。
ただ、私を見ている理由は明白。
それは、
私が太っているから。
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