195人が本棚に入れています
本棚に追加
/345ページ
私の高校生活が始まってから、はや1ヶ月が経とうとしていた。
最初は、クラスにも馴染めずにいたけれど今は友達も増えた。
ルームシェアでの生活も、みんなと話すのは楽しくて充実した日々を送っていた。
時々、お母さんやお父さんから電話が掛かってくるけど、元気にしているようだ。
けど、最近の悩みの種がひとつ。
毎日のように、お兄ちゃんからメールが来るんだよね…。
大学生なんだから、もうちょっと落ち着いてほしいと思う今日この頃。
そして今は授業中。私の大嫌いな数学。
正直言って、何を言ってるのやら理解できない。
黒板に書かれていることや、先生の言ってることが呪文に感じてくる。
中学の時より、難しくなったと思う。
「よし、市倉ー。問二、答えてみろ」
先生に当てられてしまった。
慌てて黒板を見るけど、答えなんて分からない。
まぁ、考えても分からないんだけど。
「わ、分かりません……」
このセリフは、答えが分からない時の決まり文句になっていた。
先生は私を見て、溜め息をつく。
「まーた、分からないのか。市倉お前、もうすぐ中間テストだぞ?」
最初のコメントを投稿しよう!