佐伯 洋斗

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私の高校生活が始まってから、はや1ヶ月が経とうとしていた。 最初は、クラスにも馴染めずにいたけれど今は友達も増えた。 ルームシェアでの生活も、みんなと話すのは楽しくて充実した日々を送っていた。 時々、お母さんやお父さんから電話が掛かってくるけど、元気にしているようだ。 けど、最近の悩みの種がひとつ。 毎日のように、お兄ちゃんからメールが来るんだよね…。 大学生なんだから、もうちょっと落ち着いてほしいと思う今日この頃。 そして今は授業中。私の大嫌いな数学。 正直言って、何を言ってるのやら理解できない。 黒板に書かれていることや、先生の言ってることが呪文に感じてくる。 中学の時より、難しくなったと思う。 「よし、市倉ー。問二、答えてみろ」 先生に当てられてしまった。 慌てて黒板を見るけど、答えなんて分からない。 まぁ、考えても分からないんだけど。 「わ、分かりません……」 このセリフは、答えが分からない時の決まり文句になっていた。 先生は私を見て、溜め息をつく。 「まーた、分からないのか。市倉お前、もうすぐ中間テストだぞ?」
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