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カシュッ・・・
デュポンが奏でる小気味いい音色が鳴り響く
ジジジ・・・と、小さな音を立てながらタバコに火が灯る
「トモ、ありがと。」
女が微笑みを浮かべ、"トモ"という男にお礼を言った。
女といっても、見た目はかなり美人の女性だ。
年齢は20代前半だろうか、
胸元位迄あるアッシュブラウンのストレートヘアー。
目鼻立ちがとても良く、何か香水を付けているのか、とてもいい匂いがする。
格好は肩口の出た黒のワンピースの様な服を着ていて、ハイヒールを履いている。
恐らくだが、街中を歩けば殆どの男性が振り向くだろう。
その位綺麗な女性だ。
だが、それ程に綺麗女性であっても、此処に"トモに"癒しを求め度々来ている。
「気にするな。
それよりも、最近随分と疲れている様だが・・・
何かあったのか?」
トモと呼ばれた男は、心配なのか不安気な表情を浮かべながら女性に尋ねる。
このトモという男もかなり格好いい。
黒髪のアシンメトリー。
少しツリ目だがそれをカバーするかの様に、他のパーツは綺麗に整っている。
格好は、真っ黒なスーツを着ていて、中に着ている白いワイシャツを第3ボタン迄開け、全体的に着崩している。
だが、それがまたいい。
そして、瞳の色はグレー見るものを虜にしてしまいそうな・・・
そんな雰囲気の漂っている男だ。
「そう・・・かな。
うん、そうだね。
なんか最近しつこいのがいてさぁ
疲れちゃった。」
女性は何処か疲れた様にそう言うと、頭を傾けトモの肩にコトンと頭を乗せる。
するとトモは、手を女性の頭に添え優しく撫でてやる。
女性は心地良いのか、目を細めそのままトモにもたれ掛かった。
「本当に大丈夫か?
無理するな。 それに、今日はちょっと飲み過ぎだぞ」
トモがそう言うと、女性は少しむくれた顔になり、
『いいんだもん。 今日はラスト迄いるんだから』
と言い、ガラス貼りのテーブルに置いてあるお酒の入ったグラスを手に持ち、一気に煽った。
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