第1幕 ~巻き添い~

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カシュッ・・・ デュポンが奏でる小気味いい音色が鳴り響く ジジジ・・・と、小さな音を立てながらタバコに火が灯る 「トモ、ありがと。」 女が微笑みを浮かべ、"トモ"という男にお礼を言った。 女といっても、見た目はかなり美人の女性だ。 年齢は20代前半だろうか、 胸元位迄あるアッシュブラウンのストレートヘアー。 目鼻立ちがとても良く、何か香水を付けているのか、とてもいい匂いがする。 格好は肩口の出た黒のワンピースの様な服を着ていて、ハイヒールを履いている。 恐らくだが、街中を歩けば殆どの男性が振り向くだろう。 その位綺麗な女性だ。 だが、それ程に綺麗女性であっても、此処に"トモに"癒しを求め度々来ている。 「気にするな。 それよりも、最近随分と疲れている様だが・・・ 何かあったのか?」 トモと呼ばれた男は、心配なのか不安気な表情を浮かべながら女性に尋ねる。 このトモという男もかなり格好いい。 黒髪のアシンメトリー。 少しツリ目だがそれをカバーするかの様に、他のパーツは綺麗に整っている。 格好は、真っ黒なスーツを着ていて、中に着ている白いワイシャツを第3ボタン迄開け、全体的に着崩している。 だが、それがまたいい。 そして、瞳の色はグレー見るものを虜にしてしまいそうな・・・ そんな雰囲気の漂っている男だ。 「そう・・・かな。 うん、そうだね。 なんか最近しつこいのがいてさぁ 疲れちゃった。」 女性は何処か疲れた様にそう言うと、頭を傾けトモの肩にコトンと頭を乗せる。 するとトモは、手を女性の頭に添え優しく撫でてやる。 女性は心地良いのか、目を細めそのままトモにもたれ掛かった。 「本当に大丈夫か? 無理するな。 それに、今日はちょっと飲み過ぎだぞ」 トモがそう言うと、女性は少しむくれた顔になり、 『いいんだもん。 今日はラスト迄いるんだから』 と言い、ガラス貼りのテーブルに置いてあるお酒の入ったグラスを手に持ち、一気に煽った。
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