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「起きろ、真白。遅刻してーのか」
そう言ってエプロン姿で片手に俺、夏木真白-ナツキ マシロ-のケータイを持って起こしにきたのは、俺の同室者、神崎忍-カンザキ シノブ-である。
俺たちは王ノ時学園-オウノトキガクエン-に通う高校二年生だ。
「っ、あー、無理。眠い」
俺は朝が物凄く弱い。
だからいつも忍が起こしに来てくれる。
「そうか、じゃあケータイはいらないんだな?」
「は?」
忍はそう言うとくるりと俺に背中をむけ、なにやら怪しい動きをしている。
…ちょっと忍君、なにやってんの?
え、まさか
俺は布団から飛び起きて、忍に近寄った。
見てみると、忍は俺のケータイを逆パカしようとしていた。
「ちょっと待て、忍!早まるんじゃねぇ!」
「なんだ、起きれるじゃねーか。」
いや、なんだじゃねーよ!
いくら俺が起きないからって、ケータイぶっ壊そうとすんなよ!
「おら、起きたんならさっさと飯食え。冷めんぞ。」
忍はスタスタと俺の部屋から出ていってしまった。
「へいへい、今行きますよ」
さっきのですっかり目が覚めた俺は大人しく忍の後に続いて部屋を出た。
まあ、俺の朝はいつもこんな感じだ。
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