『驚天動地』

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【東京スカイツリーから……】 東京スカイツリー特別展望台。 光で塗り潰された東京の夜景を見つめる男がいる。 チンッ……。 静かな展望台エリアに小気味のいい音が響きエレベーターの扉が開いた。 一度に大勢を乗せる事が出来るエレベーターには1人の女だけが乗っている。 スーツを皺なく着こなした秘書のような女が口を開く。 「尾神様ここにいましたか。そろそろ【ドロップアウト】が始まります。ここにいますと所定の場所にドロップアウト出来るかわかりません。素早く所定の場所へ移動しましょう。私達がお送りします」 手にした手帳に視線を落としながらきびきびと喋る女。 尾神と呼ばれた男は東京の夜景に一瞥くれてエレベーターへ乗り込む。 静かに扉が閉まり、1階を目指して2人を乗せた四角い箱がゆっくりと降下を始めた。 「また勘で俺の居場所を見つけたのか? GPSで俺の居場所を探ってるんじゃないだろうな?」 「そのようなものは仕掛けていません。我々の中には索敵能力に長けたエージェントがいるだけです」 一切目線も首も動かさない女の律儀な返答。 男は追及しても意味がないと判断してか、別の話題を振った。 「確認だけど今回のミッションはターゲットの奪還、だよな」 「はい。奪還対象は杜鳥グループの御令嬢、杜鳥 円華(とどり まどか)様です。杜鳥グループは日本の政権を担う傍ら、我々の組織を全面的にバックアップしてくださっています」 「御令嬢奪還の失敗で組織への信頼を崩してバックアップをやめさせようって魂胆なんだろう」 先回りして推論を言ったが返事がない。 隣へ視線を移すと女は腕時計を凝視していた。 腕時計を見ると、すでに11時56分を過ぎ12時まで残りわずかとなっている。 「時間がありません。少々荒っぽい手を使いますがよろしいですか」 「よろしくないって言ってもやるんだろう」 返事を聞くより早く、女は携帯で誰かに電話をかけると、一言二言呟いて携帯を閉じた。 異変はすぐに起こった。 エレベーターの床に波紋が生じ、2人の体が床に沈む。 最終的に2人はエレベーターの床をすり抜け、本来お目にかかれない特殊な空間へ投げ出されることになった。 地上250メートル弱から地上へ直線超速落下。 そんな状況で2人は顔色を変えずにただ落ちていく。
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