『驚天動地』

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「杜鳥 円華ねぇ。テレビで報道されてない情報をどうやって掴んだんだ」 「情報を突きとめたのは我々のエージェントです。そして、情報制限をしたのは今回の依頼人である杜鳥 厳都(とどり がんと)様です。ミッション内容は御令嬢様の奪還。容疑者は【タイタン」だと思われます」 「根拠は?」 「我々が失踪事件を独自に調査したのですが、失踪者が最後にいたと思われる付近で【ホール】が開放された形跡がありました。さらに、ホールが開放されたと思しき時間に円華様がその付近にいたことを突き止めています」 「最初から御令嬢が目当ての誘拐事件で、他の奴らはフェイクだったってことか?」 「そちらについては詳しく分かっていません。分かっていることは我々が行うミッション内容のみです」 「そーかい。それで、俺は何をするんだ。ホールが開放されての失踪ってことは【あっち】に行くんだろ? となると少なくとも俺以外に3~4人参加するんじゃないか」 「御察しの通りです。ミッションはMr.尾神を含み、Mr.フォーキンス、Mr.荒木、Ms.ブレアがご参加します。御三方には予測される敵勢力の陽動を、Mr.尾神には円華様の奪還を任せられるそうです」 「なんで俺だけそんな地味な仕事なんだよ。もっと暴れられる仕事を回してほしいね」 「いえ、これはボスの信頼の表れだと思います。失敗できないミッションだからこそ、信頼のおけるMr.尾神に……」 「あ~ストップストップ」 真剣な顔で真面目に返答するリアの言葉を尾神の言葉が遮る。 真顔を崩さない(ただ顔は別の方向を向いている)パートナーの横顔を見て頭をかく。 「そういうことじゃない。俺にむいてないって言ってるんだよ。女のエスコートならテオのほうが適任だろう」 「Mr.フォーキンスは女性に対して浮付きやすいので適任ではないとのことです。他の御二方は自らMr.尾神を推薦され、Mr.尾神が適任者だとボスがお決めになりました」 「ああ、そうかい…………」 ボスと戦友に先手を打たれていた。 こうなると今更何を言っても仕方がない、尾神はそういって自分を納得させた。
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