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おれは木内昭夫。大学病院に勤務していたが独立して木内クリニックを開業した。おれと看護師の佐々木いずみ、事務の米田靖子の三人でやっていた。順調だったが、ある日看護師のいずみと些細な事で喧嘩になり、翌日辞めてしまった。当然看護師がいないから翌日から臨時休診だよ。急いでハローワークに看護師の求人を出した。すると2日後にハローワークから電話があり一人希望者がいるという。年齢は35歳だが何と医師免許ももっている。今日の夕方面接することになった。夕方、紹介された片平奈保子という女がやってきた。早速応接に呼び面接を始めた。履歴書によれば彼女は正看護師になり若葉会病院に勤務後、広島の大学の医学部を出て必要な研修も全て終えていた。即戦力で使える。奈保子の実家の事を訊いた。実家は若葉会病院を経営していて、祖父が理事長、父は院長、兄は内科医長、妹はすでに結婚して別姓だが看護師をしていると話した。おれは
「それなら実家の病院に勤務すればいい」
そういうと、奈保子は母が危篤の時に父が与党の有力国会議員の治療にあたったことに強く反発した。結局母は死去した。奈保子は父を激しく罵倒した。当時奈保子は23歳。まだ看護師。兄はまだ医学部在学中。医師免許は持っていなかった。この頃医師になる決心をした。父に話すと激論の末、奈保子の申し出は許可された。大学・研修含め足掛け12年かけて医師になった。だが若葉会病院に奈保子の勤める場所はなかった。おれは奈保子を医師として採用するか、看護師として採用するか決めかねていた。ただ採用することは決めていた。おれも医師会とかで集まりがある。つまり、おれの代役がきく。ただそうなるともう一人看護師が必要だ。おれは奈保子をとりあえず看護師として採用することにして、本人に通知し受け入れた。さらにもう一人看護師を募る事にした。奈保子は医師免許はあるから診察は出来るが医療事務は出来ないから会計が出来なかった。靖子が休んだ場合の代役がいないからだ。
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