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潜入した船の中は、至って普通の造りだった。
「なんだ、もっと悪役っぽい内装とかにすれば面白くなりそうなのになぁ。」
と、アルフレッドが明らかに落胆の色を見せた、まさにその時。
グラッ
地面が揺れ、静かに船が出港した。
「ななな、なんだい!?急に地面が・・・!動いてる!?」
ちょうど近くにあった窓から、流れていく外の景色が見えている。
それにへばりつくようにして、アルフレッドは叫んだ。
「そりゃぁそうさ、あんたはこの船は始めてかい?」
急に聞こえた男の低い声に、アルフレッドはそちらを向いた。
「そういう君は、この船に詳しいのかい?」
「あぁ、そうさ。なんてったって、この船の常連だからな。」
「そうか。ところで、アーサーを知らないかい?この船に乗ってるはずなんだけど・・・。」
「さぁ、この船に乗ってるやつはみんな名前を名乗らないのが流儀だからね。だから、名前で言われてもわかんねぇよ。」
「OK、わかったよ。じゃぁ、眉毛に特徴のある男が乗ってるはずなんだけど・・・。」
「あぁ、その人か。その人も、ここの常連みたいなものだよ。」
「そうなのかい?」
「あぁ。たまにふらっと現れて、ものすごい『愉しんで』るってんで、結構有名な人だよ。」
「『愉しむ』?」
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