解決編・其の一

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「なぜ、僕たちはあれら二つの死体が出来たことを、関連させて――連続させて考えてしまったのでしょう」  苛立つ方々の意表を突くように、僕はそう言った。  案の定、見境以外の三人は『このダサい少年はいきなり何を言い出すのか』という表情を浮かべる――――まあ、前半は僕の被害妄想だろうが。  それはさておき、疑いの心は有り難い。僕の『誰も考えていなかった結末』であること。その結末を否定する為の思考を、誰一人としてしていないという証明に他ならないからだ。 「たとえ証拠らしきものが似ているからといって、亡くなったお二人――――スキーヤーの手嶋跳さんとコーチの向坂浮足さんの状態が似ていたからといって、それを連続殺人事件としてしまうのは、些か尚早だと思います」  冷えた身体を少しでも暖める為に、大袈裟な身振りでもって話をする。  うろうろと落ち着きなく動き回ることが出来るのも、探偵役の特権なのかもしれない。  安楽椅子探偵だって、自分は歩かないらしいし。探偵というのは随分楽な職業だ。  僕の話、余裕があるかのような振る舞いに、誰ひとりとして序盤からケチをつけてくる人はいない。  聞き役は四人しかいないことだし、誰かが動くのを待っている可能性もあるけれど。  何かの抑止力が働いているなら、それも有り難く使わせていただこう。  繰り返すけれど、僕のスキーウェアはダサいのだ。
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