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「本当に連続性を持った事件なのか。そもそもこれは事件なのか――――そんな風に考え出して、一時は『この世に確かなものなどないじゃないか……』とか、いかにも高校生っぽくて恥ずかしい思い詰め方をしちゃったんですが……。まあ、それはそれ。考えた結果出た答えは、そんな瑣事を吹き飛ばすようなものでした」
些か演出が過ぎたか?
支配人や見境はまだしも、某さん……亡くなられたスキーヤーの恋人さんは苛々が天辺に達したような怖い顔だし。
もう一人――スキーヤーの付き人をしていた方は、あらぬ方を見ている。
彼から聞いた訳じゃないけれど、何かを怖がっているような感じだ。
僕の何を怖がるのだろうか。
ただの男子高校生の何を。
……ちょっと自分のマイナスイメージが浮かんでしまった。
見た目と、負傷……忘れよう。
さて、何を忘れたかも忘れたところで、僕は改めて笑顔に。口を開こうとしたのだが、残念なことにスキーヤーの恋人だった女性が大きな声で僕に文句をぶつけてきた。
口汚く罵られたって僕は冷静だ。うん。
「勿体振った言い方に腹が立つ? さっさと言え? 結論をすぐに言ったとして、今現在不安に苛まれているであろう犯人が逆上して襲われたらどうするつもりですか。『間違っていたら』と考えたら、犯人も迂闊に動けないでしょう? 要は牽制ですよ、僕のこの話し方は」
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