溺れる声

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ジョッキを持つその手も はしゃぐ後輩を見るちょっと垂れた目も 温くなったビールを飲み込むその唇も 私の頬をそっと撫でるその指も 私の体を「いい匂いがする」と嗅ぐその鼻も 私の最も聞かれたくない猥らな声を聞くその耳も そして、私自身をこんなにも弱くする彼本人を… 「ねぇ、おかわりは?」 「やめとく」 「そ?」 私はいったいなんなの? 『友達以上恋人未満』というきれいな言葉にカテゴられない そして、私は彼から解放されたいのにいつもアレに邪魔をされる。 いつもは呼ばない私の名を呼ぶ彼の『声』 今日もきっと 「ミズキ…今日行くから」
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