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この世界は、海をずっと進んでいくとやがて神の地が見えると信じられていて、まだ船しか大陸移動がなかった時代。
東のほうでは『ゼンリョク』と、西では『ヤード』と呼ばれるこの世界は、悪の魔王に支配されていた。
その魔王は名をレンドキングという。
わずか七日で全世界に魔物をばらまき支配したレンドキングに対抗すべく、バンク王国の国王はある一人の勇者に魔王討伐を命じる。
その勇者は、別に力が強いわけではなく、強い魔術が使えるわけでもなかった。
ただ、生き物の生命力その他いろいろな力を『数値』として視る事ができる眼を持っているだけであった。
「………正直、乗り気じゃないんだけどなあ」頭をかきながら、セントラルは呟いた。
長ったらしい国王の話を聞き流し、軍資金と仲間を作る場合にと仲間の分の武具防具まで渡された。
………持てるか。
鎧より荷物のほうが重いって、地獄以外のなんでもねえよ。
さっきからこんな事をずっと呟いている次第である。
そんなこんなで、目的地に着いた。
最寄りの酒場だ。
やはり、仲間は必要だろう。
カランカラン―――
「いらっしゃい!!」
店員の軽快な声が響く。
俺はカウンターへ行き、
「すんません、旅の仲間を……」
「あ、はい。でしたら、この中からお選び下さい」
そう言って、店員がファイルを差し出した。
紙に穴を開け、紐を通したもの。
「ふうん……」
俺はざっと全員の顔をさら見して、
「この三人を」
三人を選んだ。
しばらくして、俺が選んだ三人が姿を現した。
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