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「んー、どうかな。
アイツがああなった原因をつくったのは奥さんだしな」
「どういうこと?」
「近所や学校で話聞いたんだけどさ、婿養子でいつもあの奥さんに怒鳴られておとなしくしていたんだとさ。
結婚してから、アイツの学校での態度がきつくなったらしくてな。
まあ人に命令できるのは学校だけだからな。
家での反動が色々出たんだろ。
で、そんな時出会ったのが」
「瞳さん……」
「そういうことだ。
ひどいと思うかもしれんが、何もしてやれることはない。
帰るぞ」
何だかすっきりしないまま帰路につく。
「……是枝瞳な、TVにうつっていたとき、関の体からもやを取ろうとしていたらしいぞ。
悪い思いにのまれて大変なことにならないようにって」
「そうですか……」
「ご両親の夢枕で思いを伝えたら、旅立つそうだ。
ついでに赤ちゃんを抱っこしてもらうって言ってたぞ」
旅立つ…成仏できるといいな…。
もう彼女の姿はなかった。
風が優しく頬をなでる。
― ありがとう…
彼女の声が聞こえた気がした。
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