さん

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ペチペチで目を覚ました月曜日の朝。 猫田さんに挨拶をして、一人と一匹分の食事の用意を終える頃、いつもより念入りに毛繕いをしていた猫田さんが僕の足元で一つ鳴いた。 「ごはん、食べましょうか」 いつもなら何かしら返事を返してくれる猫田さんが、さっさと自分の食器の前に行ってしまった。 僕は首を傾げながらもテーブルにつき、 「いただきます」 食事を始めた。 先に食べ終えた猫田さんは、いつもなら僕と一緒に、洗面所へ行って毛繕いを始めるのだけれど、今日はそそくさと玄関へ行ってしまった。 いつもなら…… でも今日は何かが違うのだ。 猫は気まぐれだ。 「気にすること、無いかな」 敢えて気にしないようにしながら、自分と猫田さんの食器を洗い、身支度をして、僕はいつものように会社へ出掛けた。 行ってきますも、行ってらっしゃいも無視された。 何だか妙に腹が立つ。
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