いち

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朝。僕は目が覚めた。 同居人(?)が顔面をペチペチと叩いていたから。 「おはようございます。猫田さん」 「ンナァ」 「はい。朝ごはん、今用意しますから」 カーテンは開けない。 まだ辺りは薄暗く、開ける必要性がわからないから。 僕の同居人は人ではない。 猫の猫田さん。三歳の女の仔だ。 僕には友達は居ないが、知り合いは居る。 それほど仲もよくないけど、他人と言うにも気が引ける人、職場の女性の家で産まれた子猫を無理矢理押し付けられたのだ。 猫田さんは小さい頃から大人しかった。人間の言葉を理解しているかのように振る舞った。それは今でも同じで……
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