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僕は、仕事以外に出掛けることは殆ど無い。 「猫田さん、僕、今日から仕事です。」 朝はいつもの猫田さんの愛情のこもったペチペチで目を覚ます。 休み明けの月曜日の朝は、さっきの言葉を、おはようの後に付け加える癖がついた。 食事を済ませ、僕が玄関を出る時にはいつも猫田さんも一緒だ。 「じゃあ、いつもの時間には帰りますから。行ってきます」 「ニャン」 一つ返事をした猫田さんは僕の通勤経路とは逆方向にゆったりと歩いて行く。 そして生垣の下をくぐる前に一度立ち止まり、振り返って小さな声でまた一つ鳴く。 「行ってらっしゃい」 僕がそう言うと生垣の下をくぐって行ってしまう。 仕事がある日の、僕と猫田さんのいつもの日課。
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