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いつも僕が仕事を終えて帰ると、猫田さんは既に玄関扉の前に座っている。 「ナー」 僕の姿を見つけると、いつも声をかけれくれる。 「只今帰りました。今開けますね」 カチャカチャと鍵を開け扉を開けると、スルリと中に入って部屋には上がらずに座って待っている。 「今、タオル持ってきますから」 汚れた足をキレイに拭かないと上がらない。そんな決まりが猫田さんにはあるらしい。僕が教えたわけではないのだけれど。 「お待たせしました。今日も外の世界は楽しかったですか?」 そう言いながら僕がしゃがみ込むと、左前足を出しながら、 「フニャ」 と、返事をくれる。 まぁまぁかな。そんな風に聞こえた。 足がキレイになった猫田さんはユックリと開きっぱなしのキッチンへの扉を抜けて歩いていく。 僕は洗面所で手洗いとうがいを済ませてキッチンへ行くと、猫田さんは自分の水入れの前で丸くなっていた。 キャットフードが入っている棚からミネラルウォーターを出して、水入れに注いでいると、耳をピクリとさせ、起き上がってちょこんと座った。 ピチャピチャと舐めるように少し水を飲んだ後は、お気に入りの椅子に飛び乗って丸くなってしまった。 「夕飯までそこに居ますか?」 そう声をかけると、丸くなったまま尻尾を少し揺らした。
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