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歩く事、数分。
圧迫感を漂わす乱立する樹木。
小さなライトでは、辺りに立ち込める不気味さを振り払う事は出来ず、恐怖心が駆り立てられる。
そんな中、暗い空間に一人ぽつんと歩く彼は、十代の頃の記憶を思い出していた。
思い出したのは、心霊スポットでもあるこの森へ男女五人で侵入した時の事である。
夕方に到着した彼等は、森の外がまだ明るかった事もあり、ライトも持たず、会話を楽しみながら森へ入って行った。
しかし脚を踏み入れて直ぐに彼等は後悔をする。
何故ならば外の明るさとは別世界のように、光は巨木の群れから伸びる幾重にも重なる枝に奪われ、進むにつれて暗闇の世界へと変わり果てて行ったからだ。
その余りの不気味さから、入って数分の場所。今丁度歩いている辺りで引き返したのである。
「懐かしいな。」
ここは自殺の名所として有名な場所であると同時に、心霊スポットとして多くの若者が訪れる場所でもある。
また、年間で多くの自殺者がいるため、回収する目的で自衛隊などが森を捜索しているのを、彼はテレビで見た覚えがあった。
(まあ、こんな真夜中に捜索なんてありえないけどな。)
と、余計な考えを巡らせていると急に視界が切り替わる――。
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