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咄嗟に足元にあった枝を投げつけて逃げ出る。
手に持つライトをつける余裕などない。
絡み付く重い暗闇を振り切りながら必死に逃げる。
しかし闇で視界の悪い道のりを走る中、ぬかるみに足を奪われ、勢いよく倒れ込んでしまった。
地面に身体を打ち付けた彼は、そのまま悔しそうに呟く。
「くっそ……やっぱり、ツイてないな。」
土で汚れた顔を上げると、二人の男が彼を囲んでいた。
「やっと、帰還出来るな。」
「そうだな。」
そう、自衛隊と思わしき二人が会話をしてから、彼に声を掛ける。
「一緒に来てもらいます。」
「断るッ!!!」
やっと決心して此処まで来たのだ。連れ戻されたら全て水の泡となる。
彼は勇ましく立ち上がり、雄叫びと共に殴りかかっていた――。
が、敢え無く撃沈。
彼は……気絶をしていた。
腕力には多少自信を持っていたようだが、向こうはプロであった。
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