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幸せになるための1歩を踏み出すことが、どれほど重労働か。
秋も近づく土曜日、母さんが踏み込んだ1歩を見て、なんとなく知った。
「再婚する」という母さんの言葉に、「またかよ」た眉間にシワを寄せた俺は親不孝なのかもしれない。
これで3回目の再婚騒動。過去2回は再婚未遂だ。
お断りの理由は俺。
目つきが悪い、
口が悪い。
そんな理由だったか。目つきが悪いなんて、俺のせいじゃないのに。
そんな再婚騒動に今日も付き合わせようと、俺の身体を軽自動車に押し込む母さん。
なぜ母さんは天井の低い軽自動車ばかり好むのか。おかげて猫背。
――これ以上、猫背になってたまるか。
俺はシートに寝っ転がると、おめかしをした彼女はハンドルを意気揚々と切る。
「ごめんねぇ。今日くらいしか、あの人休みが取れなくて。娘さんは大丈夫なんだけど…ほら、壱!スマイルスマイル」
「……なんで今回はこんなに突然?」
「さささ、サプライズよ」
嘘つけ。
俺が渋るってわかってたからだろ。
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