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その日の午後…
生温い風が吹く残暑の厳しい陽射しの中、英進は近所の業務スーパーに行く道を歩いていた。
汗を拭いながらようやく業務スーパーへ着いた英進にそっと近づく人影がいた。
「よう英進。久しぶりだな」
そういいながら少し大柄で坊主頭が良く似合う彼は笑いかけた。彼の名前は榎木弘昭
(えのきひろあき)
英進とは小学生からの友達である。
英進は18まで実家に住んでいたが、
実家に住んでいたのでは彼女が出来た時に連れ込む事が難しいと考えた彼は高校を卒業するとすぐさま隣町のボロアパートに越して来たのだった。
「おお榎木!久しぶりだな。」
英進は一瞬、驚いた表情をしたが、すぐに笑顔で切り返した。
「そういえばこないだビデオ屋で川田を見たが、あいつまだ就職してないって言ってたよ。一体いつまでバイトしてんだろうな。」
榎木は両腕を頭の後ろに組みながら言った。
「いいんじゃないか、あいつだってまだ他にやりたい事があるんだろ。誰に迷惑かけてる訳でもないしな。」
英進は川田の事は同じクラスで何回か複数で遊んだくらいで特に仲が良かった訳でもないが、つい自分の事を言われた気がして、そうフォローした。
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