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英進がそう反応したので榎木は気まずそうな顔をした
「ま…まぁな…それは良いとしても…あいつ毎日昼から駅前のゲーセンなんかに行って、一体なにしてんだってみんな言ってるんだぜ」
英進はこの言葉に驚きを隠せなかった。なぜなら川田はゲーム等ほとんどした事がなく、テレビ等も見ない。普段も勉強と文庫本を見る事だけが彼の日課だったと聞いていたからだ。
「あいつってゲームなんかやるっけ?昔、みんなで家でゲームしててもあいつだけはやらずに文庫本ばかり見てたっつ~のにな」
榎木は軽くうなずくと
「なんにせよ東大まで出て一日じゅうゲーセンに入り浸りとは…まぁ英進もゲーセンによく行くみたいだけどああはなるなよ…ま、お前の場合アルバイトと夢を追う両立で忙しいからそうはならないか。」
榎木はにこりと微笑むと
「じゃあまたな。ここ安いから店の前通るならついでにって、嫁に沢山買い物頼まれてるからさ」
榎木はそう言うと店内に向かい颯爽と歩いていった。
英進は周囲の人達に不定期の派遣バイトだとは言っておらず、以前に勤めていたタコ焼き屋を辞めた事と20歳頃に志していた
お笑い芸人の夢を
諦めた事を今も言っていないため、その事を言われても面倒くさいという理由でそのままにしていた。
榎木が冷凍食品のコーナーで早々と冷凍の食材をカゴに入れるのを横目に見ながら、英進も冷凍の安い鳥のむね肉をカゴに入れるとレジで会計を済ませ足早に店を出た。
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