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「逃げるの?」
俺は貴子の顔を見た。
「そうやって逃げて「悪いのは全部俺だ」って落ち込むの?」
俺は雑に涙をふいた。
「自分の気持ち…そんなに隠してどうするのよ!隠したりすることないじゃない。俺のそばにいてくれ!って言えば良いじゃない。景子さんにとってはあんたが1番良い男なんだから」
貴子は俺の顔を見た。
「かっこつけること…ないんだから」
俺はとまらない涙をおさえながら貴子の声を聞いていた。
時はゆっくり過ぎていった。俺は何度も景子のところに行こうとした。でも駄目だった。邪魔するものがあった。俺は痛感していた。景子の方が強い…って。
夜中の道を1人で走っていた。夜はさみしかった。なんだか1人ぼっちになってしまったような気がした。このさみしさを誰にも伝えられないのが俺の弱さだと思う。
俺はラジオをつけた。窓から夜風が入ってくる。
ーーーーーーーーーー昔なつかしい歌だった。高澤たちと肩をとりあって歌った…石原さんと歌った"Let it be"だった。27で若い頃を思い出すっていうのもしゃくだけど、高校時代を思い出して泣いた。
For though they may be parted There is still a chance that they'll see There will be an answer let it be
《この部分好きよ》
石原さんがよく言っていた。《たとえはなればなれになったって、まためぐり会う機会はあるだろう 答えはでる あるがままに》
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