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俺は屋上のフェンスに寄りかかって考えていた。
手の中のハガキを見ながら。 ーーーーー「なに、これ」
と、突然ハガキをとられ顔を上げる。
「返せよ!」
俺はハガキをとり返そうとした。「初恋ひきずってんだ」貴子が嫌らしい笑みをこぼしながら言った。
「え…?」
俺はおもわず聞き返した。 「図星?」
「…昔の話だよ」
俺はそっぽを向く。
出来れば誰にも触れられたくなかった。
「この人ととりあったんだ」貴子が高澤を指さす。 「違う」
俺はちょっと大きい声で言った。
「行くの?結婚式」
「その日、大事な会議があるんだ」
「ほんとは行きたくないんでしょ」
今日の貴子はしつこい。 いつも以上に俺の心をみやぶっている。
「…さみしいんだ。年とったなぁ…って」
「つきあったの?」
…「つきあえなかった」
「なんで?」
こいつはプライバシーという言葉を知らないんだろうか…。
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