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心の中で静かに安堵の溜め息をし、思い切って引戸に手を掛けた 「いらっしゃいませ」 「いらっしゃい」 勿論のように客を出迎うこの言葉が、今では何か違和感があった 何か…子供の声がしなかったか? 「藤堂さん、ですよね?」 「あ、あぁ…」 あぁ…やっぱり、子供がいたのか 彼女に視線をやると、脚にしがみついて此方を見ている子供が、興味津々にかというように目を開けていた 可愛いなぁ…ってじゃなくて!! 「未桜って、子供いたの?」 「え、いないですけど…此方の方は藤堂さんの友人ですか?」 此方…新八さんの事だろう 彼女の視線が新八さんに向けているなか、当の本人は彼女にしがみついていた子供と遊んでいた 「高い高ーい、どうだ?楽しいか?」 「兄ちゃん、楽しいよ!!」 その様子が微笑ましくて口元が緩んだ
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