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乱暴な手付きに何だか俺は、兄貴みたいだなと思った
兄弟がいないから尚更、そう思うんだろうなぁ…
「お前はまだ、過去の事を引きずってんのか?」
やっぱり、左之さん気付いてたんだ
口にはしたくなかったから、黙ったまま首を縦に振って俯いた
情けなくて、こんなこと言えるかっつう自分の自尊心で
「平助、顔を上げろ」
「嫌だ」
「上げろって、な?」
「嫌だ」
「上げろよ」
しつこいので渋々顔を上げると、左之さんは真っ直ぐに俺を見ていた
な、何だよ…
「お前は亡き女の事を今でも、好きなんだろ?いいじゃねぇか、一途に想っていても。だがな、もういないんだ。何時までもその女事で折角の人生の時間を削るな。沢山恋して、楽しんでその喜びを噛み締めろ」
左之さんってこんなこと言えるんだなと呑気に考えると共に、走馬灯のように過去を思い出した
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