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「だったら、紙に記しておけば良いじゃねぇか?忘れたくないなら、な」
杯を使わずに豪快に一生瓶を持ってそのまま呑む左之さんの横顔を見ると、凛々しい顔つきで遠くの月を見上げていた
「紙に、記す…ね」
それじゃ、意味ないじゃんか
ただの薄っぺらい紙に、記すだけじゃ駄目だ
「第一、大切な思い出っつうのはどんな時も頭の何処か片隅にあるんじゃねぇか?」
どんな…時も、か
そうなのだろうか
「記憶が無くならない限りな」と付け足す左之さんの頬はほんのり赤く染めていた
酒…呑みすぎだよ
俺も左之さんがやっていたように、豪快に酒を口にした
喉が暑くて、少し後味に苦味がある酒を豪快に呑んだから、酔いが直ぐに回ってしまいそうだけど、頭を冷やすのには丁度良かった
俺は…色々と思い詰め過ぎたのかな…
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