甘える

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仕方無いので抱き上げ、お望み通りに抱っこをしてあげた 私…甘いな 「姉ちゃん、美味しかったよ。またな」 もう一人いた客が、駄賃を私に渡し、私が返事をしようとする前に客は去っていく ちょっと、寂しい…かな 一人…子供の翔大くんと残された店の中は殺風景で、両親が営んでいた時の店の賑やかさとは、今では微塵も想像出来ない あぁ…私ではこの店を賑やかす事は無理なのだろうか 感傷に浸っている私はこの気持ちを紛らわす為に、客が使い終わった皿と湯飲みを納すため、水を引いた桶に入れた 「お姉ちゃん…大丈夫?」 子供はこのような事に敏感と聞くが、どうやら本当らしい 私は子供に余計な心配をさせたくないので、気休めの言葉を言う 「大丈夫、だよ?」 そうして雑務をしているなか、引戸を開ける音と賑やかな大きな声がこの店に響いた 「おはよう!!」
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