第二章     ~『悪夢再び』~

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「……兎美。」 「おー、こーすけが始めて名前を呼んでくれたー。」 さも少女の様に、無邪気な笑顔を見せた。 それが自分を庇うようで痛々しかった。 鬼に再び感情が生まれ始めた。 「こーすけー、ちょっとお姉さんのところにきなさい。」 「はあ? お前……。」 「いーからきなさいー。」 上瞼を閉じて呼ぶ姿は今にも眠りそうだった。 眠られると困るため近くまで来た。 次の瞬間、兎美が光輔の肩を掴み引き寄せ、顔を近づけた。 「光輔ー、あんたがここに来たのは指令だろー?」 「……あぁ。」 いつの間にか兎美から酒が抜けていた。 もしかしたら酒に呑まれた振りをしていたのかもしれない。 「何しに来たー?」 「……バーが吸血鬼に襲撃されたため後始末しに来た。」 「ほー。」 兎美は興味がない様に頷いた。 「……なあ、本当にバーは襲撃されたのか?」 自分でも可笑しかった。
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