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「……兎美。」
「おー、こーすけが始めて名前を呼んでくれたー。」
さも少女の様に、無邪気な笑顔を見せた。
それが自分を庇うようで痛々しかった。
鬼に再び感情が生まれ始めた。
「こーすけー、ちょっとお姉さんのところにきなさい。」
「はあ? お前……。」
「いーからきなさいー。」
上瞼を閉じて呼ぶ姿は今にも眠りそうだった。
眠られると困るため近くまで来た。
次の瞬間、兎美が光輔の肩を掴み引き寄せ、顔を近づけた。
「光輔ー、あんたがここに来たのは指令だろー?」
「……あぁ。」
いつの間にか兎美から酒が抜けていた。
もしかしたら酒に呑まれた振りをしていたのかもしれない。
「何しに来たー?」
「……バーが吸血鬼に襲撃されたため後始末しに来た。」
「ほー。」
兎美は興味がない様に頷いた。
「……なあ、本当にバーは襲撃されたのか?」
自分でも可笑しかった。
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