プロローグ     ~雨の降る日の誓い~

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ザァァァァァ…… よく雨の降る日だった。 その日はよく覚えてない。 ただ恐怖に怯えクローゼットに隠れてた。 クソ親父が三歳の俺と母さんを捨てて出ていってから半年、突然母さんがクローゼットに隠れるよう指示をしたのだ。 母さんの声色がいつもより強かったのは覚えてる。 震えていると外で母さんが誰かと話していた。 誰かは分からない。 次に聞こえたのは母さんが構える音だ。 武道において母さんに右に出るものはいない。 以前25人の不良にナンパされて全員病院送りにした記憶がある。 いや、そんなことはどうでもいい。 耳を澄ませていると瑞々しいものが切れる音が、硬く脆いものが砕ける音がした。 そして バタリ、と倒れた音がした。 母さんが勝ったかと思ったが違った、母さんが声をかけてこないからだ。 暫くすると足音がした。 足音は出ていった。 俺はゆっくりと扉を開けた、もしかしたら足音が戻ってくるかも知れなかったからだ。 開けるとそこには…… 紅い水溜まりに沈む母さんが――
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