【2】脚立か梯子を貸してください

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「知ってるのよ、あんたがトッくんを殺したって」 「ほう、なぜ?」 「見たのよ、あんたがトッくんの部屋に入っていくところ」 「……なるほど。警察には話したんですか?」 「まだよ、あんたに直接言いたくて来たんだから」 「―それなら、話は早い」 「えっ……」 まったく、まさか部屋に入るところを見られるとは。 とりあえず、この女を自殺に見せ掛けて公衆トイレに棄ててくるか… しかし妙だな、あの時周囲をよく見渡して誰もいないことを確認したのに… まあ、自分が気付かなかったのが悪いか。 それに警察は事故として片付けてるらしいし、問題はあるまい。 ふっ、我ながらよくできたものだ。 証拠は何もない。 いや、この女が唯一の証拠、目撃者か。 それも今やもの言わぬ肉塊…とっとと始末してしまおう。
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