【1】便利屋TASKの者です

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僕はアパートを後にすると、警視庁へ向かいました。 大輔さんが言っていた“アレ”、事件性を調べることにしました。 僕は受付で、ある刑事さんを呼びました。 ほどなくして、その人がやってきました。 「健太くん、ご無沙汰」 刑事さんが敬礼してくれました。 「お久しぶりです、契一さん」 僕は敬礼を返します。 彼は夏八木契一(なつやぎ けいいち)さん。 警視庁刑事部捜査第一課の警部補さんです。 年齢は28歳、昔大輔さんとコンビを組んでいました。 捜査担当は火災犯、放火の調査をしています。 「大輔さんの依頼かな?」 契一さんは、近くの腰掛けに案内してくれました。 「はい、先日のアパート火災について伺いたいです」 僕はそう言いました。 「あれは完全に事故、寝タバコ火災だって断定されてる」 契一さんはそう言いました。 「ただ、気になることがある」 「気になること?」 僕は尋ねます。 「現場は完全な密室だった。なのに、火の回りが早かったんだ」 契一さんはそう教えてくれました。 密室、ということは空気の流れが悪い。 なのに火の回りが早かった。 「確かに、妙ですね」 「ああ。だけど、密室だった以上、放火の可能性はないんだ」 契一さんが首を横に振ります。 「なるほど…」 僕は頷きました。 「もうちょっと詳しいことが聞きたいなら、博司さんに聞いてみて」 契一さんはそう言うと、手刀を切って席を立ちました。 「ありがとうございます」 立ち去る契一さんに、僕はお礼を言いました。 次は博司さんに聞いてみよう。
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