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木々の葉が色づき、散る季節。
シャロン坊っちゃんとシャルルお嬢さまは午後のお稽古中でございます。
いやはや、見ていてとても和みますよ。
ひたむきに机へ向かうお姿…。
このブライト家の将来も安泰でございましょう。
「シャロンシャロン」
「なんだいシャルル」
おや、どうしたのでしょう。
「後ろ後ろ」
「後ろ?」
後ろに何かあるのでしょ…、あぁ。深緑様ですね。
おやおや、腕を組んで船を漕いでいらっしゃいますね。
「深緑寝ちゃってる?」
「まだ寝てないと思う。
深緑、シャロンがノート終わったって」
「んっ…。
終わったのか…」
「いやっ、ちが、まだ終わってない」
秋の終わりです故、眠くなるのは致し方ありませんね。光合成はもう無理なのでしょうか。
ワタクシはモノに宿った身ですので、自然の事は分からないのです。
なんと歯痒いことでしょうか。
[深緑様。船を漕いでいらっしゃいましたよ]
[冬が思いやられます…]
深緑様は樹の霊ですもの。
仕方ないと言えば仕方ありません。
きっとシィウォ様も似たような状況でございましょう。
「深緑、最近疲れてるんじゃない?」
「いや、眠いだけ。だ」
「やっぱり疲れてるよ。ソレ」
「うんうん。無理しないで休んで休んで」
「…いや、俺は無理してな」
「おやすみなさい深緑」
「おやすみなさい良い夢を」
「…こら。稽古飽きたんだろ」
「そそそそ、そんなこと無いよ。
ね?シャルル」
「そ、うよ!そんなこと無いわ。
ね?シャロン」
「成る程。良くわかった」
や、深緑様が何やら家庭教師らしからぬ悪いカオをなされています。
良いことでも思い付いたのでございましょうか。
「そういえばメイドさんから、
休憩にはホットケーキ焼きますので
と言伝を預かっているんだが、今日は休憩ナシでこのまま終わるか」
「えっ」
「え?」
「では、今日の稽古はこれにて終了。俺は言葉に甘え、寝かせてもらう」
そう言って、深緑様は教材を持って部屋を後にしてしまいました。
「裏目に出ちゃったな…シャルル」
「失敗したわね…シャロン」
[深緑様]
[休憩兼3時はシィウォに任せてる。ので]
[深緑様もお人が悪い]
[最近頭が回らない…んです]
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