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―――キーンコーンカーンコーン。
あ、チャイム。
退屈な時間ともおさらば、という鎮魂歌(レクイエム)だと勝手に思ってる俺。
その瞬間、知らないやつが俺の名前を呼んだ声が耳に入った。
「弘樹、やったっけ?三森中言うてたなぁ?偶然やなぁ。オレも同じ中学校やってんで!」
「…へ?」
知らない。こんなやつ、うちの中学には居なかったはずだ…。
見た目からしてヤバい。
赤髪、ピアス。もちろん制服は着崩してる。
こんなやつ、絶対に一度見たら忘れられないやつの一人だ。
「えー、知らんの? めっちゃショックやん…。じゃあ改めて自己紹介させてもらうで!俺の名前は西田幸人(ゆきと)!『幸せな人』って書いて『ゆきと』!よろしくな、弘樹!」
「『ゆきと』…?」
聞いたことがある…気がする。
「幸人…って何組?」
「3組やったで?」
…3組、西田幸人。
「あ~~~~~~~~~!!!!!」
自分の声に、教室中の視線が一点に集まる。
「なんやねん、びっくりしたやんか!」
「に、西田って…あの西田…?」
そう、西田幸人。
その名前は確かに中学時代の俺の脳に記憶されていた。
何故ならば、彼は…
『暗い眼鏡くん』
だったのだ。
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