1巡目 4月、入学

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―――キーンコーンカーンコーン。 あ、チャイム。 退屈な時間ともおさらば、という鎮魂歌(レクイエム)だと勝手に思ってる俺。 その瞬間、知らないやつが俺の名前を呼んだ声が耳に入った。 「弘樹、やったっけ?三森中言うてたなぁ?偶然やなぁ。オレも同じ中学校やってんで!」 「…へ?」 知らない。こんなやつ、うちの中学には居なかったはずだ…。 見た目からしてヤバい。 赤髪、ピアス。もちろん制服は着崩してる。 こんなやつ、絶対に一度見たら忘れられないやつの一人だ。 「えー、知らんの? めっちゃショックやん…。じゃあ改めて自己紹介させてもらうで!俺の名前は西田幸人(ゆきと)!『幸せな人』って書いて『ゆきと』!よろしくな、弘樹!」 「『ゆきと』…?」 聞いたことがある…気がする。 「幸人…って何組?」 「3組やったで?」 …3組、西田幸人。 「あ~~~~~~~~~!!!!!」 自分の声に、教室中の視線が一点に集まる。 「なんやねん、びっくりしたやんか!」 「に、西田って…あの西田…?」 そう、西田幸人。 その名前は確かに中学時代の俺の脳に記憶されていた。 何故ならば、彼は… 『暗い眼鏡くん』 だったのだ。
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