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老人が持っていたのは、この世界で街の外に出るのには欠かせない魔道具である魔物を察知するための計器だった。
「こいつはまた随分と高価な魔計器ですね。ん?でもこの計器、壊れてますね。」
「はい。これから王都へ戻るのに魔計器が壊れてしまっていて困っていたところを、こちらの方にご子息のお話をお聞きしまして。」
「それだったらうちで売ってる魔計器を買ってもらえばいいんじゃね?」
「いや、是非そうしてもらいたいのは山々なんだが・・・」
珍しく歯切れの悪いコルトを不思議に思うノア。
「なんだぁ?んな歯切れの悪いオヤジは初めてだな。」
「やかましい!うちにはこんな質のいい魔計器は置いてねぇんだよ。」
「はー。これがそんなに良いもんなのかー。ま!ぶっ壊れてたらただのガラクタだけどな!」
「ハッハッハ。その通りですよ。ええと、ノアくん・・・でいいのかな?」
「ん?そうだけどー。」
「こちらの方に聞いたんだが、キミならこの魔計器を修復できるのかい?」
「なんだよー。武器屋のおっちゃん、口が軽いんじゃねーのー?」
「なに言ってやがる。困っている方をお救いするのが俺の常日頃からの信念だ。」
武器屋がそう言ったところでコルトの目が光ったように鋭くなった。
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