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自宅兼店に向かって出来る限りゆっくりと歩くノア。
街の中でも人通りの多い中央通りにさしかかったところで、声を掛けられる。
「アルスタッドんところの坊主じゃねーか!これから店番かい?」
コーリス中央通りには多くの店が並んでいる。
港町であるコーリスには国内外から様々な人間が集まる。
そしてその中央通りともなれば街の経済の主軸なのである。
いくつもの宿屋や酒場はもちろん、魔物が徘徊するこの世界では必須である武器屋や魔道具屋など様々な店が並んでいる。
ノアの実家である骨董品屋も、そんな活気のある中央通りに店を構えている。
「なんだ武器屋のおっちゃんか。見ればわかんだろ、これから楽しい楽しい店番だよ。」
「ハッハッハ!しっかり励めよー!」
豪快に笑う武器屋の主人を軽くかわしてもうすぐ店に着く。
少し歩いたところで我が家である骨董品屋『アルスタッド』の看板が見えてきた事でさらにノアの気分は落ちていく。
そんな時、手前隣の雑貨屋『アスラクト』から一人の少女が出て来て店の前に水を撒いている。
気だるそうに歩いてくるノアに気がついて笑顔で挨拶をしてきた。
「あらノア。今日は店番の日でしょ?コルトおじさんが怒ってたわよ?」
「わーってるよ。だからこうして急いで帰って来たんじゃないか。んで?シエルも店番か?」
シエルという少女は、生まれた時からずっと一緒に過ごしてきた隣に住んでいる幼馴染。
「うん、お姉ちゃん今日から居ないから。」
「あー。アリエル姉ちゃんは今日から首都だっけ。」
「うん。2週間で帰ってくるんだけどね。」
「じゃあ年内はアリエル姉ちゃんに会えないんだな。」
「寂しいんでしょ?それに来年の4月からは首都で仕事が決まってるからね。」
「はぁー。コーリス唯一の癒し要素が居なくなっちゃうのかぁ。」
「もう!ノアの馬鹿!」
「なぜ怒る・・・。はぁー。」
「早く店番行きなさいよ!」
「へいへーい。いきますよー。」
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