騎士

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東京都渋谷区の代々木公園には、2体のメディスがいた。 木々があり、夜ということで周りの人間には見えていないだろう。 メディスは鋭い目を光らせ獲物を狙っている。 じわじわと、ベンチに腰掛けたカップルに近づく。 そして…… メディスはカップルに襲いかかった。 その光景は無惨で、男は足を食いちぎられ、頭はもうすでに無い状態であった。 女は、声にならない悲鳴をあげている。 メディスは大きな口を開け、ゆっくりと女に近づいた。 「ここか……」 代々木公園に三人のパラディンが到着した。 パラディンはメディスの気配を探る。 彼等は訓練を重ねメディスの邪悪な気配(妖気)を感じれるようになっている。 「あそこだ!」 パラディンは急いで向かった。 一人がメディスの前に立ちはだかる。 メディスは、喰っていた足を投げすて、パラディンに襲いかかる。 それよりも早く、パラディンは詠唱を唱えた。 「血肉よ我が糧となり、大地の精よ我が力となれ!」 そう唱えると地面が動き出し、手のような形となりメディスを捕まえた。 メディスは苦しそうにもがいている。そしてパラディンは片手を前に付きだし手を開く。 パラディンはメディスを見据えながら、開いた手を力強く握った。 すると、手の形となった土がメディスを握り潰した。 メディスの悲鳴のような、怒号のような、なんとも言えぬ鳴き声が公園内に響き渡った。 もう一体のメディスは、後ろからそのパラディンに向かって襲いかかった。 しかし、待ち構えていた二人のパラディンによって、いとも簡単に倒されたのだった。 「楽勝だったな」 一人が言うと、一人は当たり前だと言わんばかりの顔で頷いた。 しかし、もう一人は襲われたカップルを見て悲しそうな顔を浮かべた。 「守れなかった……」 そう呟き、死体の処理を始めた。
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