騎士

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その頃、神奈川県の多摩川では三体のメディスがいた。 そこに到着したのは六人のパラディンである。 「三体か……油断は出来ないからな!気を引き締めろよ!」 そう一人が言うと、緊張の面持ちでメディスに近づいた。 「血肉よ我が糧となり、剣よ我が力となり、邪悪なるものを打ち砕け!」 一人のパラディンが唱えると、何もない空間からとても大きな剣が出てきた。 それを振り回し、二体のメディスを一瞬にして切り裂いた。 他のパラディンはもう一体を倒そうとするが、逃げ足が早くなかなか倒せない。 「何やってんだ!」 痺れをきらしたのか、男が渇を入れる。 「わかってるよ。でもこいつ早いんだ!」 そう言いながらも、男は先頭を切りメディスに追い付こうとした。 「もらった!」 男が声を発したその時であった。 川の中から数十体ものメディスが現れたのである。 「なっ、しまった!」 気づいた時にはもう遅かった。 川から出てきたメディスによって、先頭にいた男は叩き潰された。 「たす……け……」 メディスは男に群がり、ぐちゃぐちゃと不快な音が聞こえてくる。 「くそ!」 他のパラディンは憎しみをぶつけるようにメディスに襲いかかった。 しかし、数で圧倒的不利な状況で勝てるはずもなかった。 健闘空しく、そのまま全滅してしまった。 「ギギギギ……クラッタヤッタゾ!アノイマワシカパラディンヲ!」 メディスは人間を喰うことによって知性を身に付けられる。 待ち伏せという戦略も、人間から身に付けた知性である。 最も注意しなければならないのは、メディスにパラディンを食べさせないこと。 メディスは、食した物が良ければ良いほど、力を身に付ける。 だんだんと…… 絶望のカウントダウンが始まる。
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